東北絶景山岳ツーリング

PART5 3日目その2 岩手〜神奈川   訪問日:2007年6月中旬  掲載日7月3日

〜 超絶山岳スカイライン+大規模林道、2泊3日走りまくりの急ぎ旅〜

八戸川内大規模林道 細谷地・日野沢区間  
さて、今日のメインイベントは八戸川内大規模林道である。ツーリングマップルには「全長100kmの舗装林道」と記載があるが、特にお勧めルートとなっている訳ではなく、実体がよく判らない。

大規模林道というからには、緑資源機構(旧緑資源公団、旧旧森林開発公団)が建設した幅員7mの舗装林道だと思われるが、

・・・そんな道本当にあるの?

というのが、今日の命題である。

県道42号、11号、20号と繋いでやって来たのは細谷地・日野沢区間Tのスタート地点である。(ツーリングマップルP86D4)
左折すると、おなじみ「緑資源幹線林道」の看板が現れた。最初は普通の田舎道だが・・・
暫く進むと人家も田畑も無くなり、山中をひたすら蛇行して進む道となる。対向車は皆無。

林道だから周囲が森林なのは当たり前だが、例えこの道が無くても林業に支障は無いような気が・・・。大体交通量が乏しいのだから、幅員5mで十分そう。道幅が細ければ、土工量がかなり節約出来るはずだが・・・。

長い直線の後クネクネ道というのが、大体のパターン。林道は半径規制が無いのか?タイトコーナーも時折あり、最初は楽しんでいたのだが・・・

行けども行けども、景色が全然代わり映えしないのである。段々飽きてきて・・・

この辺でもう飽きてきたw。

な、長げぇー。

R281平庭高原越え  
日野沢(P81D1)で一旦大規模林道は終了。県道5号、272号を経てR281で平庭高原越え。久々に、他の車を見た。

やはり久慈市と内陸を結ぶ国道だけに、そこそこ交通量はある。

八戸川内大規模林道 高家領・大坂本区間  
平庭高原から下ってきたところ、「レストハウス袖山高原」の看板が高家領・大坂本区間入口の目印となる(P81B5)。
左折すると、おなじみの看板が現れた。
前方というか上方には、高い山の稜線が見える。えー・・・もしかしてあの稜線に登るの?面倒くさいョー。

北上山地を南下するだけだったら、わざわざ山越えする意味は無い。谷あいの国道や県道を走っていけば良いのだから。

時折対向車が来る。
め、珍しい・・・(大規模林道に)車が走ってるよ。

道としての面白味には若干欠けるものの、ひたすら登って、稜線に出た。
稜線を越えると・・・
広大な牧場が眼前に姿を現した。意外な展開である。
目の前の緑の海をトラックが走っていく・・・。
(写真のトラックはマジで走行中です)
暫く稜線上を走る。気持ちいい!
一応食事も出来るレストハウスや展望台もあり、観光客も登ってくる。八戸川内大規模林道としては、唯一賑わっている区間と言っていいだろう。
ところが、牧場を過ぎると交通量は皆無となる。道は作られたばかりのようで、ガードレールと白線の白さが眩しい。
大規模な工作が行われた山岳道路。走る者は誰も居ない・・・。
タイトターンも交え、
人気の全くない谷へ向かって、降りていく。

???えーと、この道はサーキットですか?とはいえ、走り屋でさえ入り込んだ形跡は無い。

谷底まで降りて、行き着いた先は

・・・ダート林道。しかも通行止め。

振り返ると、おなじみの看板が・・・。看板があるということは、ここが終点といういことだろう。

・・・意味ねぇー。さすが緑資源機構。壮大な無駄使いを岩手の山奥に見たぜ。

仕方なくUターン。袖山牧場内を通り、袖山トンネルを抜けてR340に出た。
八戸川内大規模林道 穴沢・上外山区間  
暫くR340を走り、次の区間を発見。
右折すると、おなじみの看板が現れた。穴沢・上外山区間の始まりである(P75H4)。

(実は、先ほど通行止めだったダート林道の先に、奥岩泉トンネルを含む大規模林道区間が有るはずなのだが、あまりに遠回りなので省略してしまった。ということで今回全線走破はならず。少し残念。)

最初は人家もあり、生活の匂いが感じられる道だったが、次第におなじみの「何も無い風景」に変わっていく。
峠のトンネルを抜けると、様相は一変して山岳道路がスタート。ダイナミックな景色が展開する。

ここは面白い区間だと思ったのだが、実はまだ序の口。

県道171号線を短く経由して、穴沢・上外山区間の続きがスタート(P75E6)。

いよいよ、問題の区間である。

暫くは美しい渓流沿いを走るが、次第に高度を上げていく。対向車は皆無。
峠を越えると・・・なんだこりゃ!?
峠にバイクを停めて、ガードレールから身を乗り出してみる。
真新しい舗装路が、美しい曲線を描いている。
見渡しても車は見あたらない。10分ほど休憩したのだが、通った車は自治体関係っぽいワゴンが1台、軽トラが1台の計2台だけだった。
峠の頂には、石碑が建っていた。

事業主体緑資源機構 
着工 昭和49年6月
完成 平成17年10月

とある。まだ完成してから1年半。税金の無駄遣いと攻撃されても不思議でない「あからさまな道路」を、つい最近まで作り続けていた事実に驚く。

とりあえず独り占めで走る。まあ、八幡平などに比較すれば、そんなに凄い面白い道って訳ではないけど。とにかくビックリした。
壮大な林道だったが、最後はショボイ止まれの標識で終了(P69E3)。前方の橋はR106である。最後だけ、何故か控えめ。
ちなみに、緑資源機構の前身は緑資源公団、その前身は森林公団である。これまで問題になる度に名称変更で生き延びてきた組織だが(凄いしぶとい・・・)、さすがに今回は本当に解体され、林道事業は都道府県に移管されるらしい?

なお「大規模林道」は緑資源公団時代の呼称であり、現在は「緑幹線林道」に名称を変更している。(標識はステッカーで変更されている)。都道府県に移管されると、また名称変更されるかもしれない。

 

★★★

さて、右図が本日のルート。お勧めはやはりこの穴沢・上外山区間である。比較的変化があって楽しい。地図上少し途切れて描かれているのは地図が古いからで、ちゃんと繋がっている。その途切れている区間が、H17完成の真新しい区間になる。

R106、R340  
八戸川内大規模林道はとりあえず終了。次は川井住田大規模林道だ。

R106、R340で暫く南下。国道は改良が進みストレート主体でスムーズに移動が出来る。これでは、大規模林道を通る車が少ないハズだ。

県道25号線でタイマグラを目指す。北上山地の最高峰「早池峰山」登山口に通ずる観光路線のはずだが、一車線で見通しの悪いカーブが延々と続く。舗装路としては最悪クラスと言ってよい。

夏は登山者でごった返すハズだが、最悪の状況が目に浮かぶよう(夏季はマイカー規制あり)。

川井住田大規模林道(荒川林道)〜遠野  
タイマグラを過ぎると、緑資源幹線林道の看板が現れた。荒川林道って、やっぱり緑資源機構が関わっていたのか・・・。
施工年次が古いせいか、路面こそ荒れ気味なものの、県道25号の極狭路がウソのよう。
峠を越えると・・・
開放的な原野。
そして広大な牧場が姿を現した。
稜線上を行く気持ちいい道。

そういえば、山上がフラットな森林地帯というのは、北上山地の特徴的な地形である。古くから森林が切り開かれ、多くの牧場が開設されているが、自然条件は厳しい。森が無くなると冬の強い北風で雪は吹き飛ばされ、表土が凍結と融解を繰り返して流失し、後に残るのは砂礫だけ(風衝荒廃という)。一旦そうなってしまうと、植生の回復は難しいそうだ。

上空から北上山地を見下ろすと、放棄された牧場が点在し、石礫が表出した裸地が多数見られるという。穏やかな景色の裏には、そんな危険も潜んでいる。この穏やかな景色が続くことを願いながら、荒川高原を後にした。

荒川高原を過ぎて、遠野の町へと降りていく。川井住田大規模林道はまだしばらく続くが、普通の田舎道で、特筆すべき点は無い。
遠野といえば遠野物語。カッパ縁を訪れてみた。

遠野といえば、東北きっての観光都市だが、果たして柳田国男の遠野物語を読んだことある人がどれだけ居るのだろう?・・・えーと自分ですか?冒頭の部分しか読んだことありません(苦笑)。

今の遠野市は中心部に片側2車線バイパスが走り、平凡な地方都市に見える。多くの観光客が訪れる理由を知りたいと思う。また訪れよう。

それより気になるのは空模様。
早く帰らなければ
・・・って、もう夕方なんですけど、川崎遠いョ

・・・どうしよう

どうしようと言いつつ、しつこくローカル県道を走る俺w。遠野市内からR283、R107、県道27、県道8、県道10、東磐井広域農道と繋いで南下する。ここまでは快走路。だが日没で真っ暗。
岩手と宮城の県境付近は、交通量が増えて快走路は無い(経験上)ので、一関に出て東北道に乗る。

後はひたすら走るだけ。夜の東北道は空いていて比較的楽だが、途中雨に降られてヘロヘロ。SA毎に休憩して気合いを入れ直して走る。周囲を走る車両の9割が大型トラックなのが難だが、先日テールランプ増設してるのでまだマシか。

3時頃首都高を通過。深夜で交通量が少ないのと、ほぼ線形まで記憶してるから走れるが、そうじゃなかったら怖くてこんな道バイクで走れんぞ。高井戸ICで降りて、川崎に着いたのは、明け方だった。ふうっ。

★★★

さて、いかがだったでしょうか東北ツーリングレポ。あまりにも濃い日程に、レポ書きながら頭がクラクラしてしまいました。梅雨とは言えオンシーズンに長期日程を組むわけにもいかず、無理矢理2泊3日で回ってしまいましたが、普通なら4泊5日位で回りたいルートだと思います。そうすれば、もっと温泉でのんびり出来たでしょうし。もしこのレポを参考に東北ツーリングされる方がいらっしゃいましたら、無理のない計画を立てて頂きたいと思います。

2日目の鳥海ブルーライン、八幡平アスピーテラインと樹海ライン、十和田八甲田を巡る旅は、とても楽しかったです。ただ、あまりに内容が濃すぎて1日で回るのは勿体なさ過ぎ。出来れば八幡平や岩手山の麓で一泊したかったです。キャンプなら相の沢キャンプ場(無料の大規模キャンプ場P73M5)、宿ならこことか。

3日目の大規模林道探索の旅は、面白かったけど、凄く疲れました。な、な、長すぎです。今後同じルートを辿る事は二度と無いと思います(笑)。

ただ、今回の旅で「北上山地のどのルートが快走路なのか」は大体把握することが出来たと思っています。要は、三陸の主要都市(久慈、宮古、釜石、大船渡、陸前高田、気仙沼etc)と内陸を結ぶ国道は交通量が多く、それ以外の国道県道は空いているのだと思います。(ちなみに三陸海岸のメインストリートR45は数多くの都市、町、村を結ぶ頻雑な道で、つまりツーリングルートとしては最悪です。)

岩手県の道は驚くほど改良が進んでいるようです。(北海道等と同じく?、仕事を作るために道路を造っているっぽい?)。交通量の少ない国道、県道でもどんどん改良が進み、快走路が増えています。大規模林道だけにこだわらず、交通量の少なそうな国道、県道を組み合わせると、北上山地を快適に走る事が出来そうです。何年か後に、快走出来そうなルートを組んでトライしてみたいと思います。

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