ビーナスラインをこえて シリーズその2

聖高原絶景ワインディングと、歴史の町松代と、変った温泉巡り

さて、ビーナスラインをこえてシリーズその2です。前回はビーナスラインの終点美ヶ原から別所温泉まで到達した訳ですが、今回はその続きです。蓼科高原を朝7時に出発しビーナスラインを大門峠で降りてR152で前回のルートをショートカット。鹿教湯温泉を朝7時30分に通過して、県道12号線を北へ向かいました。別所温泉から山を一つ越えた田沢温泉が、旅の最初の目的地となります。
蓼科〜大門峠〜R152〜R254〜県道12号線


今回の走行図です。走行距離は蓼科〜蓼科で190km。

出発画面は蓼科高原宿の近く、ビーナスライン沿いの展望広場からのワンショット。八ヶ岳が朝靄にかすんでいました。
鹿教湯温泉から県道12号線で北上します。前回はこの交差点を右折して別所温泉に向かったのですが、今回は直進して沓掛、田沢温泉方面に向かいます。
見渡す限りの山ばかり。いかにも長野県らしいと景色です。とはいえ県道12号線鹿教湯〜沓掛温泉間は1車線幅の狭路。お金があれば200円の平井寺トンネル経由の方が時間も短くお勧めです。
沓掛温泉を過ぎると道は2車線になります。この感じ、いかにも長野県の山村風景ですな。
峠を越えて15分程で国道143号線にぶつかります。左折して松本方面に向かい、1分程走って、この交差点を左折です。目印はくつろぎの湯の看板です。

 

くつろぎの湯は青木村の公共温泉ですが、今回はパスして直進します。源泉はこれから紹介する田沢温泉ですが、湯の性格からいって源泉に近い方が絶対いいはず。
田沢温泉
やって来たのは田沢温泉。旅館が数軒だけのこじんまりした温泉ですが、わりといい感じの”ひなびかた”です。
国民宿舎富士。小生はここに泊まったことがあります。中学生のとき友人のF君に誘われて。押し入れの布団の下には大正か昭和初期の新聞が敷いてあって驚愕しました。新聞の中身は強盗殺人の類ばかりで、昔も随分殺伐としていたんだなあと思った記憶があります。F君はひなびた温泉とか好きな奴でして(ませてるというか、おっさん臭いというか・・・)。私は子供だったので、何でこんな山奥までバス!(バスだよバス!上田からだよ)に揺られて来て、昭和初期に建築されたボロ(失礼)い宿に泊るんだろうと不思議でした。そりゃそうだよねー。中学生だもん。この年になってやっと、鄙びた温泉でしっぽりする気持ちも解るようになってきました。F君Y君元気にしてる?
と、そんな個人的な思い出は置いておいて、今回の第一の旅の目的はここ。田沢温泉の共同湯「有乳湯」です。子宝の湯と言われています。最近建て直されたようで、とても立派な造りです。大きさも小さな温泉街に見合った大きさ。駐車場は建物の裏に10台分位あります。

料金200円
営業時間AM6〜PM9
年中無休

200円は安い!この近所に住んでいたら自宅に風呂いらないだろうなー。という訳で、近所の人が沢山入りに来ていました。朝の8時に数人入っていたのですから、夜は盛況でしょう。

中も新しく清潔感があります。共同湯ということで鄙び系を想像していたのですが、これなら誰にでも薦められます。

色透明の単純硫化水素泉ですが、浴室の扉を開けると・・・想像より強い硫黄の香りがしました。目を閉じれば強めの硫黄泉のような気がしてきます。湯の出口近くに陣取ると体が気泡につつまれていい感じです。ガスの成分が多いのでしょう。かけ流しかどうかは不明?ですが、ややぬるめで、いつまでも入っていたくなるような、いいお湯でした。
名残惜しいですが、まだ訪問したいところがあるので先へ進みます。

R143〜県道12〜R403
再び国道143号線を走ります。

R143といえば、いまだに信号機片側交互通行区間が残るローカル国道です。このまま走りつづけちゃってもいいかなと思いつつ、暫らく行くと県道12号線麻績方面への分岐があります。

松本まで行くのも魅力的ですが、今日は右折して麻績方面に進みます。

修那羅峠までの登りです。先ほどまでとうってかわって幅の広い道。連続するコーナーはかなりタイトでなかなか。でもさしたる距離もなく峠を越えてしまう。
下りはなだらかな山間の道。元水田に咲いているのはそばの花かな。前方には聖山のたおやかな峰が見えます。
麻績村の集落で国道403号線に突き当たります。直進すれば「今月の風景2001年7月」で紹介した「アルプス展望道路」です、お勧めです。
が、今日は右折して国道403号線を味わってみたいと思いますです。
国道403号線がまた、いい感じのローカルっぷりで、でも道はちゃんとした2車線で走りやすくて、好きな国道の一つです。
こんなローカル国道を、まったり走るのもいい感じ。
こんな山道をガンガン走るのもいい感じ。?
振り返ると麻績の里がいい感じ。
登りつめると景色は高原風景に一変します。
聖湖です。対岸の山には公園、スキー場、キャンプ場などがあります。小じんまりとしてちょっと寂れています。聖高原は別荘地となっています。秋の紅葉を楽しんだり、晩秋の枯葉舞う別荘地の道をドライブしたりするのもいいかもしれません。
更埴までの下りはさらにタイト。写真内側のコーナーは15R位しかないんじゃないでしょうか。大型トラックがセンターラインはみ出し気味に走ってくることもありますので、慎重な運転が求められます。
カーブのきつさでは国道ナンバーワンクラスでしょう。
そして見晴らしの良さもトップクラスでしょう。千曲川の流れが一望の元に。今日は残念、雲ってますが、山並みも凄いですよ。
眺望があまりにも良いので、運転しながらよそ見するのは危ないということでしょうか。ちゃんと展望所があります。車やバイクはここにとめてじっくり眺めるのが吉です。
眼下に更埴市街地が広がっていて、この見下ろし感がいいです。
この下の方には田毎の月として知られる姥捨の棚田があります。名だたる歌人が歌を残している月見の名勝です。

城下町 松代
次にやってきたのが松代の街。真田氏ゆかりの歴史の街です。写真は松代城です。建物は復元されたばかりですが、石垣は古くからのものに見えます。
この美術館の西側が無料の公共駐車場になっています。
美術館の隣が栗おこわ屋さんになっています。おいしそうですが、私は、
真田邸北側の広くてきれいな公園にて、作ってきたお弁当をひろげました。日の丸ですけどネ。最近は外出先でも自炊生活してます。
真田邸です。主に金銭面の問題があり、中は見学しませんでした。詳しく知りたい方は、どこかの名所旧跡サイトをご覧下さい。スミマセン。
正面が文武学校です。古くて立派で広いです。この隣には小学校が有って、門は隣り合っていて、小学校もデザインも文武学校に合わせたデザインになっているのが洒落ています。えと中の様子はどこかの名所旧跡サイトをご覧下さい。スミマセン。
武家屋敷らしい町並みですが、よく整備されていてモダンな感じさえします。松代は歴史の街としてかなり力入れて整備しているようです。
象山地下壕も訪問してみました。日本の歴史の負の遺産には重苦しい空気が満ちていました。総延長10kmに及ぶ松代大本営予定地は全工程の75パーセントで終戦を迎えたそうです。整備維持だけで一億円位投じているらしいですが無料です。長野県的には負の遺産で商売はしたくないということでしょう。
幕末における時代の先駆者「佐久間象山」の出身地は松代です。象山神社、象山記念館などがあります。
加賀井温泉一陽館(松代温泉)
次にやって来たのが加賀井温泉一陽館です。加賀井温泉は昔からの名称で、周囲の温泉は今は松代温泉を名乗っています。とても成分の濃い温泉として、温泉通の間では有名な存在のようです。

駐車場は舗装されていて20台位は入れるでしょうか。ご主人が出てきて、バイクは車にぶつけられると危ないからと、建物横のスペースに誘導してくれました。

湯気抜きのある建物は思いっきり鄙びています。

一人での入浴のみの訪問だというのに、うわさ通りご主人が源泉に案内してくれました。時間が有る限り訪問者全員に案内をしている?のかも。凄い精力的です。見習いたいです。

入浴料金300円。休息750円。
入浴営業時間AM8-PM8、無休。

ここに顔つっこんでニオイを嗅いでごらん
・・・・・(ゼイゼイ、息が出来ない)、死ぬかとおもたよ。

凄い炭酸ガスが発生していて息出来ませんでした。ここでは絶対に深呼吸しないほうがいいです。写真撮りたいといったら、ご主人曰く「くだらん、そんなものインターネットでいくらでも見れるよ」とのこと。とはいえ満更ではないはず。なかなか面白い元気なオヤジさんです。

温泉に含まれる炭酸ガスとカルシウムが結合して鍾乳石のような状態になると説明してくれました。

まずは内湯です。湯船は木製だったらしいですが、今ではすっかり石の湯船になっています。床一面鍾乳石に覆われてます。源泉からかけ流しの湯が注ぎ込み、湯船の端からザアザアと溢れ出しています。

お湯は茶褐色で、浴槽に入ると自分の手や体が全く見えないほど。何か凄いものに浸かっている気がします。

温泉の分析表を見ると・・・

蒸発残留物12680mg/kg!

5桁の数値は初めてみましたが、こんなのお湯とは言わないような気が・・・。

多分すぐ詰まってしまうのでしょう。維持は大変らしいです。まあ木が石になってしまうので腐らないというメリットもありそうですが。

ちなみにタオルは茶色く染まって、洗っても落ちませんので、そのつもりで。

露天も広くて快適です。内湯からは裸でスリッパだけ履いて歩きます。混浴ですけど。

PH6.4のせいか、濃いわりには当りの柔らかな温泉でしたが、鉄やらミネラルたっぷりです。この日のバイクの走行距離は100キロ程。既に腰が痛くなっていたのですが、温泉出て走り出したら痛みはすっかり消えていました。また来たい温泉です。

松代温泉
一陽館のすぐ南側には「国民宿舎松代荘」という立派なホテルがあります。ここでも500円で日帰り入浴が出来ます。

 

 

もう、凄い立派です。同業者(同業なのか?)としてみると絶句してしまいます。こんな立派な(城下町モダンジャパニーズ風?)設備ど、どうやって採算とるんだ、でも人気らしいからすぐとれるのか、うらやましすぎる。俺もココに勤めたいよ。しかし、すぐ側にこんな立派な施設が出来たら、一陽館のご主人の説明にも力が入るってものだ。観光協会が押し進めているという?「松代温泉」のネーミングを使わないのも、ご主人の気概かな。隣に超巨大な何とか保養センターとかも建設してたけど、それも温泉施設か?だとしたら民業圧迫も甚だしいなどなど、いろいろな雑念が私の心の中に渦巻きます。
江戸時代から伝わる湯、創業は大正らしい、超古くてひなびた、元気なオヤジが守る一陽館。
長野市開発公社が個人では真似できないような資金を投入し、贅をつくして建設した最大級に立派な国民宿舎。泉質はほぼ同じようです。私的には一陽館を応援したいと思いますが、皆さんはどちらに入りますか?

松代〜県道35〜真田町〜上田市

さて、時刻は1時。タイムリミットなので急いで蓼科へ戻ります。

県道35号線は松代から「新地蔵峠」までヘアピンが連続するワインディングですが、交通量が多いのが玉に傷。ローカル峠道なのですが、上田市と長野市を最短で結ぶ道ですので、朝夕は通勤や仕事車が多く、トラックも多い道です。

新地蔵峠から真田町、上田市までは単調に下る2車線の道。真田町には日帰り温泉として千子温泉などがあります。

 

出来れば「新」がつかない湯の丸の「地蔵峠」や、高峰高原などを訪問してみたいところです。あるいは、松代から更に北上して志賀草津方面を目指したら最高のツーリングコースですが・・・。

それはまた次の機会ということで。ビーナスラインをこえて、第3弾をご期待ください。

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