歴史ツーリングレポート

出雲・奈良ツーリング PART2 奈良編

〜出雲と奈良の神社・史跡を巡るドライブ〜

訪問日:2009年12月中旬  掲載日:2010年1月3日

奈良の神話に出てくる神社と、史跡を巡る旅
中国道〜近畿道〜西名阪道〜天理東IC〜天理市
早朝、西名阪自動車道を経由して天理東ICにやってきました。このICは街外れにあるので、天理市内の混雑を避けて山の辺の道方面の名所巡りするには便利なICです。
天理市は日本で珍しい宗教都市です。こんな建物が市内随所にあって、初めて来るとビックリしてしまいます。
そんな天理教だらけの街ですが、日本最古級の神社があります。
石神神宮(いそのかみじんぐう)  
石神神宮にやってきました。後で訪問する大神神社と並んで日本最古とも言われる神社です。
大和朝廷初期の実力者だった物部氏の本拠地ですね。大きな神社ではありませんが、古社らしい森の様子が素敵です。

主祭神は武甕槌(タケミカヅチ)が葦原中国(地上)の平定に使った布都御魂剣とされています。
鶏が飼われています。

グーグルマップ石上神宮
国宝の拝殿です。元々本殿はなく、神器が埋祀された山を祀っていたといいます。古い神社だけあって自然や物に神様が宿るとするアニミズム的信仰の色彩が色濃く出ていますね。
摂社である出雲建雄神社の拝殿。やはり国宝に指定されています。
参拝をすませた後、奥に歩いていくと、しめ縄で封印された禁足地がありました。山自体が御神体とされています。神秘的な感じがしますね。

言い伝えの通り、1874年に七支刀(四世紀のもの。四世紀ですよ!スゲー)が出土して国宝に指定されています。当時の神主の方が「思い切って掘ってみたら出た」そうです。大胆なことをするなぁw。

現在ある本殿は、発掘された七支刀を納めるために建立されたものです。普段は見れません。
参道から山の辺の道が続いていました。いい感じの道ですね。いつか一度、歩いてみたいと思いました。
山の辺の道の案内図がありました。日本最古の街道と言われていますが、今では人気のハイキングコースとなっています。
崇神天皇陵  
国道を南下して崇神天皇陵にやってきました。

崇神天皇はヤマト王権の初代大王とも、神武天皇(初代天皇)と同一人物とも言われます。実在した(と思われる)天皇としては最も古く権力を確立した天皇、古代史における最重要人物の一人と言えそうです。

宮内庁管理の陵墓は一応、数台分の駐車場もありますが、特に看板も無く、ひっそりとしています。門がしっかり閉じていて、古墳の全貌を望むことは出来ません。

横もしっかりガード。宮内庁的には、古墳はあくまでお墓であって、人々が見学に来るような旧跡・史跡ではないという姿勢なのだと思います。天皇陵に関しては学術調査もほぼ行われていませんし。

グーグルマップ崇神天皇陵
見えない・・・
ガードが固くてお堀は見えません。
軽トラサイズのあぜ道を車で辿っていくと、お堀がみえました。

歩かないとなかなか全貌がつかめない古墳なので、ドライブやツーリング向きの場所ではないと思いました。(古墳のことが知りたければ、後述する黒塚古墳が良いと思います。)
箸墓古墳(はしはかこふん)  
箸墓古墳にやってきました。卑弥呼の墓と呼ばれています。国道169号からこんもりした大きな森が見えるのですが、やはり宮内庁管理の古墳の例に漏れず、看板が見当たりません。これが本当に箸墓古墳なのか?最初は判断がつきませんでした。

グーグルマップ箸墓古墳
これを見て、やっと箸墓古墳だと判りました。宮内庁的には「箸墓」の名は使っておらず、「倭迹迹日百襲媛命」の墓としています。

参拝所に車を停める所は無く、あぜ道を歩いていかなければ近づけません。ここも車での訪問には的していない史跡だと思います。バイクならその辺に停められると思います。JR巻向駅が近いので、電車と徒歩なら訪問しやすいところだと思います。
これがあの、卑弥呼の墓・・・かもしれません。真実は?宮内庁が方針転換して発掘調査が行われないとハッキリしそうにありません。
ホケノ山古墳  
ホケノ山古墳の標識があったので訪れてみることにしました。なお踏切の凸凹が凄いので、車高の低い車は入らない方が無難です(普通のセダンでも擦るレベル)。
ホケノ山古墳にやってきました。3世紀前半の前方後円墳の初期のものです。前方後円墳という形はヤマト王権の文化の象徴とも言える形で、3世紀後半に関東平野のあたりまで普及していきます。文化の伝播の早さは意外なほどです。
桜井市管理の古墳なので、発掘調査済みで、古墳の上に登ることもできます。

高台から奈良盆地を一望出来たというのも、この地に初期の政権が根をおろした一因かもしれません。

なお5台分ほどの駐車場もありますが、途中の道が軽自動車サイズなので、大きな車やバイクでは入らない方が無難だと思います。基本的にはハイキングコース経由で歩いて巡る所だと思います。
西側に箸墓古墳を望みます。
大神神社(おおみわじんじゃ)  
国道169号線を南下していくと、巨大鳥居が姿を現しました。日本最古の神社と言われる大神神社の一の鳥居です。
大神神社に本殿は無く、三輪山という山自体が御神体となっています。やはり古代宗教、アニミズム的色彩が濃い最古級の神社です。

駐車場は無料のものが3箇所程あります。初詣や七五三でもない限りは車で訪問しても大丈夫でしょう。バイクなら参道直前の駐車場に停められるでしょう。
日本最古というだけあって、参道の森も厳かで、いい雰囲気です。こういう参道は、歩くのが気持ちいいですね。

グーグルマップ大神神社

拝殿です。拝殿を通して山自体にお祈りする形になります。
山の中に幾つも摂社が点在し、また山頂にも登ることが出きます。
三輪山に登頂するには、摂社である狭井神社に申込めばいいそうです。
山内は撮影禁止ということもあって今回は行きませんでしたが、
いつかは登ってみたいと思っています。
大神神社の主祭神は大物主神(出雲のオオクニヌシの別名)です。

大物主と大神神社に関する神話は幾つかありますが、おそらくこの神社は大和朝廷がこの地の国造神を祀るため、およびオオクニヌシの祟封じに作られたものだと思います。
古代史と歴史については門外漢の自分ですが、少し大胆に推察してみると、この大神神社と、伊勢神宮は対比して捉えることが出来る気がします。古代信仰と天孫信仰、それぞれの象徴としてです。

ヤマト王権、そして大和朝廷初期において重要視されたとされる大神神社は、山そのものが御神体、つまり自然そのものを神様とする古代信仰の色彩が色濃く残っている神社と言えるでしょう。

一方、大和朝廷の神様というのは、伊勢神宮に祀られた天照大御神を頂点とする人格神です。神様は例えば天照大御神が太陽神であるように自然の象徴ではありますが、神話によれば恋をしたり、酔っ払って失敗したり、人間と結婚したりと、かなり人間っぽい神様達です。そして、神様の子孫が地上に降りて天皇になった(天孫降臨)ということになっています。

古代信仰において山や木や森や川といった自然そのものを神様として祀っていたのが、天皇家の支配体制の確立にあたって、天皇家の祖神である天照大御神を頂点とする人格神を祀るように信仰体系の転換が行わたれた、そしてその象徴として天照大御神を祀る伊勢神宮が創建された、というストーリーが、大神神社と伊勢神宮を比べること浮かび上がってくる気がするのです。いや気がするだけですけどね。

さらに、出雲のスサノオは、古事記においてアマテラスの弟に位置づけられました。これは出雲の神様を天皇家の家系にとりこんで融和を計ったことを表している気がします。

各地の神様を神様として取り込んでしまう、そしてその総神様として天照大御神を位置づける。この日本的?柔軟性が、天皇制が日本に浸透定着し長く続くようになった理由の一つのような気がするわけです。
月曜日、火曜日は休館だらけ・・・失敗の巻orz  
さて、大神神社一の鳥居のはす向かいにあるのが、「桜井市立埋蔵文化財センター」です。巻向遺跡発掘の中心的存在であり、期待して行ったのですが・・・

休館日でした。月曜、火曜日休館とのことです。

次に黒塚古墳資料館を訪れてみましたが、やはり休館日でしたorz。

グーグルマップ桜井市埋蔵文化センター(芝運動公園に大駐車場あり)
黒塚古墳(R169サークルK裏に無料駐車場あり)
車での移動に限界を感じたので、大神神社のガラガラの大駐車場に車を停めて、電車で移動してみることにしました。
JR桜井線。一時間に二本程の単線ローカルです。
近鉄の方は頻繁に電車が来て、東京の大手私鉄と何ら変わらない雰囲気がありした。
で、やってきたのはココ。

月曜休館でした・・・、アチャー。

グーグルマップ奈良県立梼原考古学研究所附属博物館(無料駐車場あり)
神武天皇陵を訪問してみました。どちらかというと近代に国家神道の為に大々的に造成された陵墓なので、古墳とは言い難い部分もありますが、まあ近くまで来たので。

ヘリコプターから空撮すると立派さが判るんでしょうが、地上から平面的に見ても、全体像は分かりません。

グーグルマップ神武天皇陵
巻向遺跡  
JR桜井線の巻向駅にやってきました。ちょうどホームの反対側で発掘調査中。

グーグルマップ巻向駅

巻向小学校の周囲に古墳が集まっています。

三輪山と箸墓古墳を望みます。
ここが、ヤマト王権発祥の地、日本という国家が最初に姿を表した地ですねー。
現在は住宅地と水田が広がり、訪れても何もありません。
多分、歴史好きの人以外は、突然訪れても面白くないと思います。
もし訪問するなら、桜井市埋蔵文化財センターを見学してからがお薦めです。
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12月の日は短いです。すぐに日が暮れてしまったので名阪国道に乗って帰路につき、通勤時間帯割引を使って名古屋市内を通過。月曜日でETC千円割引は効きませんので、名古屋から蓼科までは国道153号線を使ってトコトコゆっくり蓼科まで帰りました。蓼科到着は深夜でした

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奈良訪問の成果ですが、石上神宮と大神神社は良かったのですが、その後に計画していた三箇所の博物館巡りは見事に全滅となってしまいました。まさか全滅とは・・・

この件に関しては翌週に再訪してリベンジを果たしています。訪れた博物館は3箇所とも素晴らしかったです。

PART3 古代史博物館巡りへ

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