ツーリングレポート

最果ての地へ!大隅&薩摩半島ツーリング+九州の大規模林道を探る PART4

〜大隅半島東岸、佐多岬、薩摩半島、大規模林道 宇目・須木線、宇目・小国線、竹田城址を訪ねて〜

4日目 大規模林道 宇目・須木線を走る

訪問日:2008年3月 公開日2008.3.31

 枚聞神社  
かいもんキャンプ場を出発して、町の中心部に入ったところで、立派な社叢が目に入った。思わず急ブレーキ&Uターン。
枚聞神社という。生い茂る緑の中に、朱色の神殿が目にも鮮やか。

創建は遠く神代の頃(つまりもの凄く古い)、建物自体は1610年に島津氏が寄進したものだそうだ。屋根の形が優雅だ。

装飾もユニークで楽しい。薩摩一の宮である。
特に観光名所とはなっていないようだが、独特の様式が興味深い神社だ。

立派な楠の木に囲まれている。
鰻池温泉  
つづいてやって来たのは鰻池。水蒸気爆発で出来たマールである。
区営鰻温泉を訪ねてみた。建物の裏から煙が吹き出し、硫黄のニオイが立ちこめている。共同浴場ファンが泣いて喜びそうな、いい雰囲気。
軽く黄褐色のいいお湯。こじんまりしているので、ここも温泉マニア向けかな。

鹿児島県はいい共同浴場が多い。そういえば鹿児島湾自体が幾つものカルデラから形成されたものであり、開聞岳、鰻池、池田湖も鹿児島湾南部を形成する阿多カルデラ内の噴火口である。指宿火山帯の活動は活発なようだ。

指宿スカイライン  
指宿スカイラインを快走。このまま九州自動車道まで一気走りで距離を稼ごうと思っていたものの・・・
頴娃を過ぎた辺りで雪が降り出した。ガーン・・・

この後どんどん降ってきて、路面もシャーベット状と化す。命からがら涙目で山を降りることに。

市街に降りると、嘘のように晴れていた。鹿児島市街地〜国分のR10は多分混んでて時間が勿体ないので、九州自動車道でワープ。

しかし九州自動道空いてるなぁ。凄い快適なのである。鹿児島空港IC下車。

霧島高原  
霧島高原国民休養地キャンプ場にやって来た。何と、この広大な敷地が全部キャンプ場である

メジャーなキャンプ場だけに、ここなら泊まれるはずと思ってやって来たのだが・・・雪がちらつき寒そう。かなり迷ったが、時間が早すぎるのと、高原の夜の寒さに耐える自信が無く、立ち去ることにした。

但し、ここを逃すと今日泊まるキャンプ場の"あて"が無い・・・、オレ、今日どこに泊まるんだ?

(行きのフェリー代で財布がスッカラカンなので、宿に泊まるという選択肢は無い・・・オレ宿の経営者なのにw)

樹林のトンネルが霧島らしい。さすがにえびのスカイラインは積雪必至なので、R223で霧島山の東を抜けて北上することにした。心配した積雪凍結は無くホッ。
途中、さくらさくら温泉に寄ってみた。天然泥湯ってことで、よくポスターなどで紹介されている温泉である。

実際には湯船が泥湯に満たされているわけではなく、泥は別に置いてあってクレイパックが出来るというシステム。男性には意味ないかも。

とはいえ、きれいで高級感があり、その割に入浴料500円と安く、浴感も極上で、広くお勧め出来る温泉である。

大規模林道 宇目・須木線 須木区間  

さて、霧島山系の北東の外れにやってきた。問題の大規模林道(緑資源幹線林道)はここから始まる。

ツーリングマップル上の場所はP49B6、道の駅「ゆーぱるのじり」から国道268号線を東に1.5km程進んだ地点である。入口に看板は無かったが2車線スタートなので国道を注意深く走っていれば判ると思う。確か、角にスーパーがあった。

出ました!おなじみの看板。
緑資源幹線林道 宇目・須木線とある。
(正確には野尻集落付近はふるさと林道として建設されている)
<解説>大規模林道(緑資源林道)宇目・須木線(宇目須木林道)とは・・・

そもそも宇目・須木線に興味を持ったのは前回ツーリングでたまたま発見し、日之影南郷区間を走ったのがきっかけである。今回は大規模林道を扱うほぼ唯一の個人サイト「林道評論センター」さんを参考にして、地図上で位置を推定し、実地調査をしようというのだ。


ちなみに須木は、この先に在る宮崎県旧須木村を指している。2006年に小林市と合併した小野湖のほとりの集落だ。

では、宇目は?、これは大分県の旧宇目村を指すと思われる。こちらも2005年に佐伯市と合併している。須木と宇目がいかに離れているか、地図を見るとお判り頂けると思う。すごい大規模プロジェクトなのだ。

宇目・須木線の総工費は五百数十億円を予定しているという。道路が無いと東知事が嘆く宮崎県だが、山奥には大金を投入しているのだ。もっとも、ご存じの通り緑資源公団は解体され、先行きは不透明だが・・・。

左の地図は、宇目須木林道および宇目小国林道の完成済み区間をプロットしたものである。

今回冬季のため日之影南郷区間は走行しておらず、前回走行分を除き推定である。途中で途切れていると思われる。
(追記:2007.10.9日之影南郷区間開通とのこと。ソースはこちら


快走路がスタート。白線が眩しい、出来たてホヤホヤ、ピッカピカの道である。

前方に巨大なコンクリの擁壁群が見えてきた。あれって道路関連?ちょっと大規模過ぎないか??

ガードレールは凝った意匠の緑色の木製である。
巨大な掘り割りに突入。先ほど見えてた擁壁はコレか。
掘り割りの中でタイトターンを繰り返し、急激に高度を上げていく。こんな道は珍しい。
まだまだ掘り割りが続く。
まだまだ掘り割りが続く。

なんだ?この掘り割りワインディングは!?

掘り割りワインディングで一気に高度を稼いだ。
しかし道はまだまだ登っていく。
なんだろうこの道は?
凄い・・・

 

気持ちいいんですけど?

どうやらココが峠の頂のよう。
峠の向こうには、九州らしい深い山並みが続いていた。

で、ここまで対向車が一台も無かったんですけど・・・。人っ子一人見なかったし。何なんだこの道は?

オレ、異世界に迷い込んじゃった???

一山越えて谷底まで降りてくると、僅かな田園と数軒の集落があった。昔は町に出るまで半日がかりだったと思われる、街から隔絶した場所である。
谷筋には県道401号線が通っている。地図を見てもらえば判るが、相当クネクネした狭路だ。一旦突き当たって左折し、3km程進むと、再び大規模林道が始まる。
宇目・須木線 第二区間(仮称)  
宇目須木線 第二区間(仮称)がスタート。アスファルトが古びていて、竣工してからだいぶ年月が経つようだが、深い掘り割りという特徴は第一区間と同じだ。
暫くすると舗装が新しくなった。急カーブ、急勾配でガンガン高度を上げる。
コークスクリューのようなカーブ。今時の新設国道・県道でこんなカーブはあり得ないだろう。広域農道あたりでも考えにくい。情け容赦の無い線形は大規模林道ならでは。

トリッキーな道こそ軽量VTRの真骨頂。水を得た魚のように走るぜ!

深い森が延々と続く。人の気配は皆無。
標高の高いところまで来た。走っていても高所感を感じて、少し怖い位。
見下ろすと、小野川湖が見えた。あの湖の向こうには集落が在るはず。
峠を越えると・・・

深い深い山並みが眼前に展開。

山が・・・谷が・・・深すぎる・・・。
なんか、オレ、とんでもない所に来てしまったんじゃないか?
車は全然通らないし、人っ子一人居ない。ここ走って良かったんでしょうか?何かあったら帰れないんじゃないだろうか・・・。次第に背筋が寒くなる。
舗装と白線こそピカピカだが、交通量が無いだけに、落石が随所にみられる。無造作にスピードを出したら、あっという間に事故間違いなしだろうと思う。

実際、VTRも砂利に乗り上げて滑りながら走る場面が多かった。超絶ワインディングだが、むしろのんびり派の人にお勧めしたい。

まあ時期もあるのだろうけど。夏は山菜取りの方や小野湖を訪ねる釣り人や林業関係者が利用するはずだし、その時は道も綺麗になっているのでは?

山間に立派な道が続く。ちなみに、あの谷の下流は、綾の照葉樹林だ。
数え切れないほどのカーブを経て、終点に到着、県道26号宮崎須木線に合流する。

なんて深い道だ!なんか全然使われてないし・・・。

終点近くに家は無いが、宿泊施設がポツンと一軒あった。かなり古くてB級な感じだが、よく見れば植木の手入れが行き届いている

すき商工会のHP

須木集落にはツーリングマップルで紹介されているキャンプ場もある。夏なら宿泊してみたいところだが。

県道26で綾に出るという選択肢もあったが、こんな道・・・二車線舗装供用済み、かつ、日本有数のスケールを誇る山岳展望ワインディングでありながら、ほとんど使われていない・・・は日本に一つしか無いだろう。

折角なので、元来た道を戻ることにした。

この深い山の中に一人ぼっち。
寂しくて心が張り裂けそうだ・・・

(↑マジで走りながらこう思っていたw)

県道401を経て第一区間に戻ってくると、前方にトラックを発見。COOPの宅配車である。こんな山奥まで・・・ご苦労様である。

帰りの第一区間では、ちょうど山で作業していた方々の夕方の帰宅時間にバッティングしたためか、数台の車を見かけた。第二区間みたいに通行量皆無ってことは無いようである。

夜間に宮崎を北上して野宿  
さて、その後は広域農道である中部グリーンロード、尾鈴サンロードと乗り継いで宮崎県を北上。ちなみに広域農道といってもR10の抜け道化している普通の道である。夕闇の川原自然公園キャンプ場を訪ねてみるが、当然無人で、豪華すぎて無断キャンプしたら怒られそうな気がして退散。

結局、夜のさすらいを開始することに・・・。まあ当初の予想通りの展開である。3月に開いているキャンプ場なんて、そうそう有るわけ無い。

一応、プランが無かった訳ではなくて、それは大分か別府の健康ランドまで深夜に走ってしまおうという遠大(無謀・・・)なプラン。明日の大分探索にも好都合だしね。で、引き続き尾鈴サンロードを疾走。

延岡市内に入ったところでリンガーハットで遅い夕食、を食べつつ携帯で大分の天気予報をチェックすると・・・県内全域「雪」マークのオンパレード。大分は勿論、大分県南部の海沿いに位置する臼杵さえ雪予報・・・マジか!

空を仰いで進退窮まるオレ。さすが宮崎、星が輝いているぜ・・・
これが一山越えて大分県に入ると雪なのか・・・

(この日は強い西高東低の冬型気圧配置だった。九州で強度の冬型の雪雲を完璧にブロック出来るのは宮崎県だけだと思い知った管理人であった)

しばし彷徨ったあげく、仕方がないので某道の駅の駐車場の片隅にテントを張ることにした。一応、昔のツーリングでテント張れそうだなとチェックしてあった場所である。

走りながら、ついついテント張れそうな場所をチェックする習慣が役に立った。この習慣は、あまり役に立って欲しくないけど・・・。

写真は翌朝の様子である。

次のPART5では、驚異の誰も通らない長大快走2車線大規模林道を探ります。・・・ってまたかよ!

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